つながるだけじゃダメ!そんな気になる無線LANの話
無線LAN環境をルーターで構築して、パソコンやタブレット端末、スマートフォンで快適なネット生活。今の時代当たり前になりつつある日常の中に、意外と気にしていない無線LANの、実は大事なそんな話。
実は種類がたくさんある無線LAN
一般的に知られる「wifi」は無線LANにつけられたブランド名で、無線LANもwifiもほぼ同じものと考えてもいいと思います。その無線LANの規格(種類)は主なものが下記の通り。
- IEEE802.11n
- IEEE802.11a
- IEEE802.11g
- IEEE802.11b
- IEEE802.11ac(次世代規格2014/03現在)
以下11で省略。11g.bが無線LAN初期から主流で一般的に使われてきました。11aは他の規格より周波数が高いのでその繋がりやすさ、接続の品質から企業などハイクラスな場で(対応機器も当時高かった)利用されています。そして最近は11nという規格が主流になっています。さて、ここで一つ質問です。インターネットしていて、パソコンが遅いなーとかインターネットが遅いなーとか思ったことないですか?
どの規格で接続しているかで通信速度の限界が違うということ
もちろんパソコン本来の処理速度が遅いなど、別の理由でインターネットの表示が遅くなることはあります。そういった場合は抜きにして、一度、使用している無線ルーターの取説・仕様書の対応接続規格を調べてみてください。ここで対応していなければ、対応端末(ゲーム機やパソコン、スマホなど)をいくら持っていても希望の規格では接続できません。
規格 | 周波数帯 | 通信速度(最大) | ストリーム数 |
11n | 2.4GHz/5.2GHz帯 | 150/300/450/600Mbps(40MHz使用の場合※20MHzは約半分) | 1/2/3/4ストリーム |
11a | 5.2GHz帯 | 54Mbps | 1ストリーム |
11g | 2.4GHz帯 | 54Mbps | 1ストリーム |
11b | 2.4GHz帯 | 11Mbps | 1ストリーム |
こちらは特に注目するところを表にしたものです。周波数帯は、最近よく携帯メディア各社がCMでガンガン流しているのでなんとなく解りますね^^2.4GHz帯と5.2GHz帯では5.2GHz帯が通信が途切れにくい、つながりやすい、干渉されにくい(現状2.4GHz帯が多いため、周りに5.2GHz帯の機器がなければ特にいい)と言われています。通信速度(最大)は言葉の通り、限界がここまでってことです。11nだけ数種類に分かれているのは追ってご説明します。ちなみに8bps(ビット/秒)=1B(バイト/秒)ですので、例えば54Mbpsの最大通信速度でダウンロード出来た時、1秒間に6.75MBのデータを入手できます。コンピュータは2進数で・・・ごにょごにょと、掘り下げた話はとりあえず何かの機会でまたお話するとして、多分勘違いしている方結構いらっしゃるのではないでしょうか。光で1000Mbpsもしくは1Gbpsですって言われて「おおっ!1秒間に1Gもデータが通信できるのか」とお思いの方、残念ながら実際はもっともっと少ないです。仮に1000Mbpsで通信できた場合、1秒間に125MBのデータが動かせるってことなんです。さて、少々脱線しそうでしたが話を戻します。ストリームはホースと思ってください。実際には無線なので見えないですが、水を送るホースは片方から送っている最中、もう片方から水を送ると破裂してしまいますよね。ネット回線もいくつかの回線に分けて混線を防いでいるんです。そこで、注目なのが11nの欄。最大4ストリームまでを1つの接続として独占できます。正確にいうと4つのストリームに1端末が同時に接続していることになります。ホースも4本集まれば4倍の量の水が送れます。つまりそういうことなんです。
無線LANの規格は接続する側の機器も大事
※いつもながら画像をご用意する時間がないので、読むのに疲れた方、休憩してまた見てくださいね^^
ここまでの話でもう次にお話する内容はお察しになっていることでしょう。そうです!接続する機器(ゲーム機やパソコン、スマホやタブレット端末など)も規格に対応していることで初めてルータと機器と思い通りの接続が可能になります。つまり、ルータが最新の通信規格に対応させたら、今度は使う機器をそれに合わせて準備する必要があるということです。最近の携帯ゲーム機やスマホなどは11nや11gが多いですので、150Mbpsか54Mbpsが最大通信速度として接続できます。ここで、11nならルータが600Mbpsまで対応しているから最大600Mbpsで使えるんじゃないの?って疑問を持たれた方、このからくりは後ほど。さて、お持ちの機種の仕様書をじっくり見てみてください。もし、もっと早い速度の規格に変更できそうならチャレンジする価値ありますよ。
11nの接続は特殊!仕様書はちょっといじわる!?
先ほど11nなのに最大150Mbpsじゃないかと書きましたが、仕様書の表示、実はこれ結構いじわるな表示だなぁとか思っています。話をもっと前にさかのぼって、ホースのくだりをお話しましたが、ホース4本を最後1本にまとめるとどうなりますか?1本分の太さのホースにまとめたら、4本分の水の出口が1本分しかないわけで、水が詰まったように、うまく流れなくなります。(下手するとまた破裂しちゃうかも)ということで、出てくる先が4つなら入る先も4つ。つまり使用する端末が11nにいくら対応していようが、アンテナの本数が1本しかないなら、結局1本分しか接続できなくなります。スマホ等の機種選び時に、ネットの速さで悩んでいる方、ずばりこの規格とアンテナ数に注目してみてください。※パソコンの場合はこのアンテナの数を後から増やすことは可能です。
最後の落とし穴。条件をクリアしなきゃ。
さて、次世代規格の11acは置いておいて、現在主流の11nの最後の落とし穴。11nの環境が整っても、いくつかの条件をクリアしていなければ、勝手に制限がかかって54Mbpsでの接続になっちゃいます。その条件は下記の通り。
- セキュリティ設定にWPA2を使用。※WEPやWPA(TKIP)は速度制限がかかる。
- 40MHzモード対応。※20MHzでは半減に近い速度になる。
- 一部機種では5GHz帯のみで対応。
いやぁ、ほんとにくじけそうなくらい細かい内容で、書いてる私自身、なんとも言えない気持ちになりました。各機器のメーカーさんも、こんなこと説明してられないですね。仕様書がいじわるな件は確かにしょうがない気もします。最後は11acの話となりますが、まだ全く普及していないというか、もうしばらくは11nが続きそうなので、また別の機会にしましょう。長~いお話、お付き合い本当にありがとうございました。